Life Cafe Vol.76
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15スマホをかざすと動画で見られる!PAPYRUS AR(無料)をダウンロードしてから写真にかざしてください。▶詳しくは14ページへ。閲覧期間/2019年12月31日までレトロ建築に逢う写真で見る建物の歴史富士屋旅館神奈川県・湯河原、藤木川のほとりに建つ老舗旅館「富士屋旅館」。明治時代創業とされる同館は、落語や歌舞伎の舞台として登場する等、温泉旅館街のシンボルの一つと呼べる存在でした。平成14年には惜しまれつつ一度は閉業しましたが、平成28年に湯河原町の地域活性化を目的に「かながわ観光活性化ファンド」の第1号案件として、この富士屋旅館を再生させる試みが始まりました。往時の雰囲気をできる限り残すため、梁(はり)や障子、窓枠、床、階段等で使えるものは残しました。敷地内には、大正・昭和に建てられた建築物3棟が存在し、いずれも和風建築の特徴を残しています。その中の「旧館」、「洛味荘」を中心に歴史的景観の保全再生と設備等の機能改修を行い、旅館として現代に蘇らせることに成功しました。藤木川に架かるシンボリックな赤い橋を渡り、門をくぐるとすぐ左に見える建物が、3棟のうち最も歴史のある「旧館」です。二階建ての楼閣風建築で、客室は全4室。檜の三寸六分角柱を用いた細身の建築で、客室の座敷飾り、縁側、廊下など外回りの建具に繊細な組子入り硝子戸を多用するなど、大正期の建築の特色をよく示しています。寝室には、床の間や床脇、書院窓の配置されている昔からの旅館の風情が楽しめます。旧館から趣のある中庭を眺めなら廊下を進んでいくと、昭和20年代に建てられた離れ「洛味荘(らくみそう)」 があります。改装前は8室あった客室を4室に間取り変更をしてゆったりとした作りにしています。昭和26年から29年ごろに、京都から木材を運んで建設されたと伝わっており、特徴的な建具などからも当時、洛味荘が贅を尽くして造られたことをうかがわせる名残が感じられます。一番新しい建物が、赤い橋を渡りまっすぐ進んだ先にあります。正面エントランスから入り、ロビーのある建物が「新館」です。大正時代から残る梁を生かし、壁にヒノキ、浴槽に黒御影石があしらわれた大浴場もこの建物にあります。昭和43年に建てられましたが、傷みが激しく骨組みだけを残してほぼ立て替えています。再生するにあたり、営業を停止していた事によるダメージは予想以上に大きく、床が抜ける等荒れ放題の状態からのスタートでした。完成は予定より遅れましたが、それだけに観賞ポイントは有り余る程あります。◎取材協力/際コーポレーション

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